山本 薫さん②ガイドで津軽を新発見

山本 薫さん

陶芸家。ベンセ湿原ボランティアガイド。つがる縄文遺跡案内人(遺跡ボランティアガイド)。新聞配達員。

北海道出身。
短期大学卒業後、とあることがきっかけで青森県藤崎町へ。
青森県弘前市で陶芸を学んだ後、山口県萩市で12年間研鑽を積む。
その後青森県に戻り、ご主人と窯元を創業。
現在は陶芸教室講師やボランティアガイドとして活躍している。

Q.ベンセ湿原ガイドと縄文遺跡のガイドを始めたきっかけは何だったのですか?

ベンセ湿原のツアーはもともとつがる市出来島にある最終氷期埋没林(以下、埋没林)を見に行くツアーとセットだった。
埋没林のことを勉強したいなと思って説明会に行ったら、ガイドを募集していたの。断ろうと思ったんだけど、あんまり人数少ないから断りきれなくて(笑)それでやり始めた。年に一回、一か月間。観光課の主導のもとやっていた。
それをずっとやっていたら「遺跡の方のガイドもやらない?」って誘われたの。その前から焼き物やってる関係で縄文に興味あったから、「ああ、いいね!」って思った。その頃遺跡の市民講座に何回か出てて、それで誘われたのもあった。
世界遺産になるからガイドも必要だよねって。そしたら今までベンセ湿原のガイドやってたから、少しでもお役に立てるかもしれないねって言っていた。

ベンセ湿原ボランティアガイドの試乗会 話す内容や順番を入念にチェックする

「ベンセ湿原の知識が縄文の遺跡にもそのまま重なってる」

遺跡のガイドをやるにあたって、一緒にベンセ湿原のガイドをやっていたHさんと、「遺跡のガイドは地面の下のことを話すんだから、今までベンセのガイドで話していた花の名前や津軽のお殿様のこと、つがる市のことは封印しようね」って確認したの。それで一から勉強するつもりで縄文のことをやった。
でも人がたくさん来るようになったらね、屏風山のこととか津軽のお殿様のこととか話題になるわけ。聞かれたら答えているうちに、やっぱり話は通じてて、前に覚えたことは確実に役に立つんだなって。ここ一年くらい特に、「ベンセの知識が縄文の遺跡にもそのまま重なってるね。あのとき確認しあって封印したのは正しかったね」って、Hさんと話してお互いにそう思ってる。封印して始まって、今その封印が自然に解けて、二つが重なっている感じ。

Q.縄文のガイドは何年やられているんですか?

まだガイドできてから4年目くらい。ベンセ湿原ガイドと縄文ガイド、どっちにも入ってる人がほとんど。
縄文のガイドは遺跡のことだけを勉強すればいいけど、ベンセ湿原のガイドは木造(つがる市合併前の町名)も森田(つがる市合併前の村名)も高山稲荷神社(市内の神社)も全部ひっくるめての知識だったから、かえって縄文のガイドのほうが楽なの。範囲がぎゅっとなってるから。縄文ガイドは狭い範囲を深く学べるから、勉強のし甲斐があった。

26年目のベンセ湿原ガイド

ベンセ湿原のガイドが始まったのは、埋没林が平成6年に発見された2年後の平成8年。その頃からずっとやっている。
ガイドした最初の頃は、つがる市はそんなに大したことない所という印象だったのね。でもガイドで細かい所色々知識として覚えると、「つがる市ってすごいところなんだ。」「お殿様との関係も深いんだ。」「屏風山つくってくれたおかげでメロンやスイカが育てられてるんだ」そういうことがちゃんと見えるよね。そうすると感謝の気持ちも沸くし、大事にしなきゃいけないなっていう気持ちも沸く。
例えば最初の頃田んぼつくった人の苦労とかね。腰切り田*とか胸切り田*っていうところを、田下駄履いて、馬にも田下駄履かせて、そういう歴史を聞いて、「本当に人間ってすごいよな」と思うよね。
*腰切り田、胸切り田…入ると腰や胸まで浸かる田。昔は市北部にある十三湖の水戸口が閉塞すると、農地が排水不良になっていた。現在は十三湖突堤建設により改善。

Q.今まで苦労したことはありますか?

苦労したこと…そうね。一番生活に関係していたのは介護だね。嫁姑の関係で、もうちょっと向こうが穏やかだったら楽だったんだろうなと思うね。
最後姑は認知症になったけど、今みたいに認知症のことがニュースに流れる前だったの。認知症についての知識がもっと私にあったらもう少し優しくできたのかなと、その後悔はある。でもできることはやったからいいか、という気持ちもある。

Q.こちらで暮らしている中で印象に残っていることは何ですか?

つがる市から見た9月下旬の岩木山 藤崎町から見るとまた違った形になる

一番は自然の美しさ。岩木山がすぐに見られるし、田んぼの黄色くなったのがざわざわってするのを見たり、自然を見るのが一番和む。自然の中に暮らして、津軽人になってるよね、私も。
ガイドもそうだよね。ベンセ湿原のニッコウキスゲの花の時期に行って見られるし、それから派生して花のこととかトンボのこととか興味をもつじゃない。注目しないとそういうのって覚えられないけど、「そろそろこの季節だし、あそこ行ったらこの花咲いてるな」とか、「今年もこのトンボ飛んでた。まだ自然大丈夫だわ」っていう、毎年繰り返しの確認作業だよね。そういう確認の仕方をずっとしてきた気がする。
そういうのはすごく大事なことで、意識しているかしていないかに関わらず、それは津軽に住んでる人みんなが思っていると思う。

Q.生活をする上で意識していることはありますか?

前は3食きちんと手作りで一生懸命ご飯の支度してたんだけど、最近一人になって暑くなってから、食べたくないじゃんってなって(笑)
それでも例えば梅干しの時期になったら梅干し漬けなきゃとか、新生姜の季節になったら新生姜漬けなきゃとか、季節の移り変わりの何かをつくることにはこだわりがあるよね。その年つくらないと「あ、しまった、つくらなかった」って後悔が残るから。食べきれないから、つくっちゃ人にあげるんだけどね。
3年前までは弘前で陶芸教室があったの。その時、お昼ご飯をつくって食べさせるまでは私の範囲だったの。でもその教室もコロナで無くなっちゃって誰も食べてくれる人いなくなったから、野菜もつくらなくなっちゃった。世界遺産に登録されてからガイド忙しくなったからさ、作ってる暇もなくなった。

Q.つがる市で、ここは特徴的だということはありますか?

一番最初に津軽に住んだ時さ、人の家、黙って開けて入ってくるんだよね。今はそういうことないけどさ。それが普通だったんだよね。「ん!?」と思ってびっくりした。なんていうのかな…。人と自分と敷居がなかったんだろうね。

(筆者)「玄関に入ってくるんですか!?」

玄関じゃなくて、上にまで入ってくるの。「いだー?(家にいらっしゃいますか?)」って言って。そんな感じが津軽に住み始めてすごくびっくりした。
あとは、萩にしても弘前にしても城下町で、北海道は開拓の近代的な町でしょ。北海道は春になったら日高山脈が紫色になってきれいとか、自然のきれいさはこっちとはちょっと違って雄大な感じで良い。城下町だと歴史がいっぱい詰まってて、それはそれで楽しい。

どこに住んでも問題ないよ。そこに染まればいいんだもの。「私一人で寂しいわ」って思うとつまらないけど、「ここに住むんだからここの人と仲良くなろう、何やってるんだろう、興味があってちょっと覗いてみよう」ってそういう気持ちがあれば、どこに行っても住めるよ。

(筆者)「山本さんは流れに乗るパワーがあるというか、波に逆らわないんですね。」

逆らわない。逆らってもさ、そんなに良いことないの。一生懸命やっていれば助け舟出てきたりするんだよね。
弘前に住んでたときね、藤崎のおじいちゃんの息子が来て、帰るときにほいってマッチ箱をくれたの。その中にちっちゃく畳んだ千円札が何枚か入ってたの。そういうのがいろんなところでポツンポツンとあったよね。気持ちをもらう、お金に限らずそういうことがあったから、今まで悲観しないで来られたのかもしれない。
そういう良い人と出会えるっていうのも、親のおかげだなって思ってる。「私は良い親のもとに生まれたな」って気持ちはずっと持ってる。ふつうの親なんだけど、でも、素晴らしい親だった。20歳の娘が一人で出ていくのを出してくれただけでもすごいでしょ。私と同じような状態で自分の娘が行くって言ったら、良いよって言えないなと思って。色々なことを心配したと思うんだけど、それでもその心配を表にあらわさないで、行っておいでと出してくれた。その信頼に応えなきゃいけないっていう気持ちも私にあったかもしれない。

縄文広場にて ベンセ湿原ツアーでは縄文遺跡の紹介も行う

(筆者)「私はつがる市に移住するために親に出してもらった立場なので。有難いですね。」

ちゃんとやっていくだろうって思って、それから、本当に困ったら助けの手を求めるだろうって思ってくれてるんだよ。だから、絶対助けを借りないって思う必要はなくて、本当に困ったら「助けて」って言っていいんだよね。親の方は助けてって言ってくれるのを待ってるってところもあるじゃない。
そういう人と人との繋がりがさ、「自分と誰か」もそうだし、今まで繋がってきた人もそうやってきたんだよね。だから、自分が良くしてもらったら誰かに良くしてあげればいいんだよね。その繰り返しだから。
縄文人の人たちのこと考えればさ、自然相手で最大限に利用して、本当にすごいと思う。敵わないよ。

山本さんは遺跡ボランティアガイド「つがる縄文遺跡案内人」として亀ヶ岡石器時代遺跡の南側に隣接の「縄文遺跡案内所」にいらっしゃいます。
ガイドが日替わりで遺跡を案内します。ぜひ足を運んでみてください!

【活動日】
4月下旬~11月末の土・日・祝日
【時 間】
午前10 時~午後3 時頃

関連リンク
ベンセ湿原(つがる市観光物産協会)
つがる縄文遺跡案内人(つがるJOMONポータルサイト)

つがるさこいへ-つがる市移住支援

山本薫さん インタビュー

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しきろ庵 一戸広臣さんインタビュー

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